歓迎の言葉

東京有明医療大学 学長  林 洋

 第9回日本フォレンジック看護学会学術集会が、本学で開催されますこと、心からお祝い申し上げます。

 日本フォレンジック看護学会におかれましては、加納尚美理事長をはじめとする会員の皆様が、性暴力被害者を守るための制度の実現をめざし、学術研究や普及啓発活動に熱心に取り組まれ、国をも動かそうと奮励努力なさっていることに深く敬意を表します。

 性暴力を受けた被害者は、身体に傷を負うのみならず、心に深い傷を負うことになります。医師である私は、ひどい怪我をしたのかどうかと、まずは身体の傷に気を配ってしまいがちですが、日本フォレンジック看護学会は看護の視点で性暴力被害者を守ろうとする活動であると聞き、医師では気が付かない観点から被害者をケアし、守り、回復を支援することを期待いたします。またこれらの活動は、被害者にとって非常に心強い存在となることを確信しております。斯くも尊い活動に、微力ながら本学がお役に立てたことは大変喜ばしいことであります。

 さて、東京有明医療大学は柔道整復学、鍼灸学を学ぶ大学であるとともに、看護師を育成する看護学部を持つ大学であります。貴会の理念に賛同する本学出身の看護師も将来は出てくるかもしれません。また、本学は、大学の役割である研究・教育・社会貢献に日々力を注いでおりますが、本日はまた日本フォレンジック看護学会の開催という形で具現化することができました。本学はこれからもこの取り組みを推進して参ります。

 結びに、本会のご盛会と貴会のさらなるご発展、並びに本日ご参加の皆様方のご健勝とご活躍を祈念申し上げまして、御挨拶とさせていただきます。

大会長挨拶

特定非営利活動法人女性の安全と健康のための支援教育センター 理事
第9回学術集会 大会長  山本 潤

 日本の性暴力をめぐる状況が、大きな転機を迎えている今、第9回日本フォレンジック看護学会学術集会を東京有明医療大学で開催できることを嬉しく思います。

 2017年より始まった#me too運動、2018年に4件の無罪判決を受け全国に広まったフラワーデモ により、日本社会でも性暴力が可視化されるようになりました。

 被害者たちの訴え、支援者の要請を受けて、内閣府は2018年に「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」の3ヵ年計画を定め、環境整備等が推進されています。また、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」が2022年4月より施行されました。法務省では、私も委員として参加する法制審議会ー刑事法(性犯罪関係)部会で2021年10月より、刑法性犯罪改正の議論が行われています。

 性暴力に対する認識や対応が変化を迫られている中、被害者に関わる専門職者も学びを新たに「性被害の訴えに応えられる社会へ」のために必要な知識や体制について、共に考えたいと思います。

 そのため、本大会では、被害者支援が日本より20年進んでいると言われるイギリスの被害者支援体制について、元上級警察官でISVA(性暴力独立アドバイザー)を制定したAlisonさんにお話しいただきたいと思います。

 また、日本の性犯罪改正についての最新の議論を弁護士の寺町東子さんに報告いただき、SNS等を利用した子どもへのグルーミング について、日本のマインドコントロールの第一人者である西田公昭教授より学びます。

 そして、医療職者がどのように証拠を採取し、記録を残す必要があるのかを司法面接の第一人者である山田不二子医師より伝えていただき、裁判においてどのような記録と証言が有用であるのかについて元検察官の城祐一郎教授とSANEの長江美代子教授、被害者側弁護士に語っていただきます。

 さらに、性暴力が起こっている最中に何が起こっているのかを神経生理学的な視点から解き明かすポリヴェーガル理論を花丘ちぐささんにお話しいただき、つながりを取り戻すために必要なことを考えます。

 被害者支援の場として、病院拠点型のワンストップ支援センターをどのように広げられるかを参加型で話し合う場も設けています。

 最新の状況を学び、実践し、探究していく中でさらなるエビデンスが確立されることを期待します。

 フォレンジック看護はまだ若い学問です。皆様の日頃の実践が、気づきや学びとなります。日頃の疑問、考えを闊達に意見交換し、さらなる理解につなげられるよう、多くの演題のご応募、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

実行委員長挨拶

東京有明医療大学 家吉 望み

 第9回日本フォレンジック看護学会学術集会開催にあたり実行委員会を代表してご挨拶申し上げます。

 山本潤氏を大会長に迎え、「性被害の訴えに応えられる社会へ」をテーマに開催致します。性被害の影響や社会が抱える課題に向き合い、当事者中心の支援の拡大に貢献しうる学術集会にしたいと考えております。学会認定資格である日本版性暴力対応看護師(SANE-J)も今年で第3期生をむかえます。本会が認定者たちの活動を共有する場となり、また自己研鑽のできる場となるよう有益な機会を提供したいと思っております。

 本学会が念うのは、皆様が積み重ねた形式知に実践知を積み重ねることによって、単なる技術がエビデンスを伴ったケアへと成長し、そのケアが社会に寄与する第一歩になることです。加えて、医療における被害者支援の在り方を社会に提言することも本学会の社会的役割であり責任でもあります。皆様と意見交換し議論を深めることができる場を作り上げて参りたいと思います。

 学術集会開催方法は、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑み、9月3日・4日の対面(9月4日の一般口演発表のみ一部オンライン)と、9月12日~10月31日までのオンデマンド配信によるハイブリット開催を予定しております。対面開催は、実に3年振りになります。感染対策を講じながら、会場で皆様の交流とともに熱気溢れる学術集会になるよう実行委員会として準備を進めて参ります。

 会場は東京有明医療大学です。東京のベイエリアに位置する大学です。都会らしい町並みと夕日がきれいなエリアです。近郊には温泉施設もありますので、熱い論義の後はどうぞ心行くまでリラックスしてお過ごし下さい。

 皆様から多くの演題のご応募をお願いすると共に、会員非会員を問わず皆様方のご参加を心よりお待ち申し上げます。

 祝辞をいただきました(順不同)

花田学園東京有明医療大学 理事長 櫻井康司 様

駐日英国大使館領事部領事プロジェクト担当官 ローズマリー ペネルス 様

内閣府男女共同参画局 局長 岡田恵子 様

法務省 刑事局長 川原隆司 様

ご祝辞を賜り、大会長はじめ実行委員一同、心より感謝申し上げます。